オーガニックが高くなる7つのコスト――値札の舞台裏を知って、納得して選ぶために
あなたがスーパーで有機JASマークのついたキャロットを手に取った瞬間、「同じ量なのにどうして倍近い値段なの?」と感じたことはありませんか。じつはその差額には、いつも見えない7つの追加コストが折り重なっています。ここでは一つひとつを分解し、どう家計と折り合いをつければいいかまでまとめました。読み終えれば、値段の裏側に隠れた“環境・健康・リスク軽減料”を数字で理解できるはずです。
1 転換ロスと低収量
オーガニックへ切り替える畑は3年以上、化学肥料も農薬も絶ちます。土の微生物を育て直す間は収量が慣行の7~8割に落ち、採算を埋めるには単価を上げるしかありません。にんじん1キロ当たり+40円程度がこの段階で上乗せされる計算です。
2 手作業・人件費
除草はカルチと手取り、害虫は捕殺や天敵放飼。葉物を例にすると労働時間は1.8倍になり、人件費は10アール当たり年間6万円プラス。あなたが払う追加30円/100 g の中には、生産者の“時間給”が含まれています。
3 認証・残留検査費
有機JASは初年度だけで登録料・実地審査・残留農薬分析を合わせて5~10万円/ha。更新年でも3~6万円の支出が続きます。農家が100袋出荷するなら、袋ごとに30円前後の“合格証明料”が乗る計算です。
4 有機飼料・資材コスト
畜産物は飼料全量が有機でなければいけません。有機トウモロコシは国際相場の1.4倍、牛乳1リットル当たり+25円。畑でも魚かすペレットや骨粉が高価で、窒素1 kg を得る費用が化学肥料の2倍になります。
5 リスクヘッジ保険
農薬に頼れない作物は天候で全滅しやすく、専用共済に加入する農家が多いです。掛金は慣行の1.5倍。単価換算すると葉物で+8円/100 g 程度が価格に転嫁されます。
6 低温・小ロット流通
保存料を使えないため、収穫後すぐ4℃以下で運ばなければ品質が落ちます。冷蔵便は常温便より12~17%高く、しかも有機は小ロット混載なので割高。東京の店頭まで来る頃には輸送コストだけで+20円/100 g。
7 環境配慮パッケージとサステナ投資
石油系トレーからトウモロコシ由来バイオマス袋へ替えるだけで袋1枚+3円。加えて太陽光パネルや地下水ろ過設備への長期投資を始めた農家もあり、これらの“未来コスト”が少しずつ値札にのっています。
コストを払う価値はある?
最新メタ解析(2025)ではオーガニック作物のポリフェノール+22%、硝酸塩−30%、カドミウム残留−48%が確認されました。幼児4日間オーガニック食の介入では尿中農薬が平均−72%。さらに土壌炭素固定で1haあたり年間3.2tのCO₂を吸収し、気候変動の社会コストを年1.4万円削減するとの試算もあります。あなたの追加負担が、医療費・環境修復費という“後払い請求”を先に肩代わりしている、と考えると納得しやすいはずです。
家計と折り合いをつけるステップ
- 摂取量と皮ごと食べるかで優先順位を付ける
主食用米、葉物、りんご・にんじん――ここだけを有機に替えれば効果が大きく、月+2,000円程度で収まります。 - 調味料3本を最初に載せ替え
有機しょうゆ・味噌・油は毎日使うので、無添加と減塩が一度に叶い“二重投資”になりません。 - 季節外れは冷凍有機で価格平準化
夏の有機トマトは生で、冬はEU有機冷凍カットをストック。 - CSAや共同購入で中間マージンを圧縮
年間予約すれば20~25%安くなる事例多数。 - レシートと体調を2週間見比べる
便臭・肌荒れ・午後の眠気が軽くなった品目だけ継続し、効果が薄い食品は慣行に戻して家計を最適化。
体に良くない代表食品を忘れず回避
食品 | 隠れコスト |
---|---|
発色剤ウインナー | 将来の医療費(大腸がんリスク上昇) |
合成色素ラムネ | 行動障害ケア費 |
リン酸塩ナゲット | 骨粗しょう症治療費 |
まとめ
オーガニックの価格差は「低収量・人件費・認証費・冷蔵流通・サステナ投資」という7つのレイヤーで構成されています。その分、農薬暴露、医療リスク、環境修復コストを前倒しで払っていると捉えれば、数字の裏側がクリアに見えてきます。まずは皮ごと食べる作物と調味料から置き換え、2週間体調を観察してみてください。値札よりも“感じる価値”が大きいと実感できれば、次の一品を安心して選べるはずです。疑問があればいつでも声をかけてください。