有機JASマークの意味と取得基準は何ですか?

スーパーで緑色の丸いロゴを見かけたとき、「本当に体にいい証なの?」と感じたことはありませんか。結論から言えば、あの有機JASマークは“日本のオーガニック公式証明書”です。農林水産省が定めた日本農林規格(JAS)のオーガニック部門をクリアしていなければ貼れません。自己申告ラベルや「ナチュラル」「自然派」とはレベルが違う理由を、取得プロセス・原料要件・農薬と肥料の具体例に絞ってお伝えします。


1 有機JASマークとは

  • 3年以上、化学合成農薬と化学肥料を畑に入れていない。
  • 遺伝子組換え種子・ポストハーベスト農薬・放射線照射は禁止。
  • 生産・加工・流通すべてを記録し、登録認証機関の実地審査と年次更新を通過。
  • 加工食品の場合は原材料の95%以上が有機原料

2 「有機原料」とは具体的に何を指す?

有機JASまたは国際相互認証(EUリーフマーク、USDA ORGANIC など)を取った一次原料を指します。例を挙げると、

  • 有機小麦粉(オーストラリア産)
  • 有機てんさい糖(北海道産)
  • 有機トマトペースト(イタリア産)
  • 有機ココナッツオイル、有機しょうゆ、有機カカオパウダー

これらを合計95%以上使ってはじめて「有機ビスケット」「有機パスタソース」と名乗れます。逆に、国産有機野菜+慣行栽培の砂糖で作ったピクルスはマークを貼れません。


3 取得基準の主なステップ

  1. 転換期間:農薬・化学肥料不使用の畑で3年以上栽培。
  2. 栽培・加工記録:種子、肥料、収穫日、保管温度まで日誌化。
  3. 初回実地審査:認証機関が畑・加工場を現地チェック。
  4. 残留農薬・重金属検査:基準超過で不合格。
  5. 年1回更新審査:違反があれば即マーク剥奪。

畑1ヘクタール規模でも登録料や検査費で年間5〜10万円かかりますが、だからこそ消費者は信頼できます。


4 化学合成農薬・化学肥料とは何か

化学合成農薬の代表例

系統成分作用懸念
有機リン系クロルピリホス神経遮断幼児の注意欠陥リスク
ネオニコチノイド系イミダクロプリド殺虫ミツバチ大量死・発達神経毒
グリホサート系グリホサート除草発がん性疑い (IARC 2A)

化学肥料の代表例

種類成分形態問題点
窒素肥料硝酸アンモニウム顆粒地下水硝酸汚染・メトヘモ血症
リン酸肥料過リン酸石灰粉末富栄養化で水質悪化
カリ肥料塩化カリ顆粒土壌アルカリ化・微生物単調化

有機農法では牛ふん・鶏ふん堆肥、油かす、緑肥など緩効性資材を使うため、水っぽい野菜になりにくく糖や香りが濃くなるのが特徴です。


5 味・栄養・鮮度で有機が優位な理由

可溶性固形分(甘味指標)やβ-カロテン、ポリフェノールは有機でおおむね1〜2割上乗せ。さらに抗酸化ビタミンが高いため呼吸速度が遅く、冷蔵でも色・香りが長持ちします。特に有機にんじん

  • 糖度+15%、β-カロテン+23%
  • 皮と実の間のクロロゲン酸+30%
  • 泥付き保存で日持ち+3日

皮まで安心して食べられるので栄養ロスがなく、子どもも「甘い!」とリピートしやすい一品です。


6 賢い選び方とスタートガイド

  • ラベルの緑ロゴ+JAS番号を最初に探す
  • 原材料95%有機かチェック:加工品は「有機○○」が先頭に並ぶか注目。
  • 子どもと味覚テスト:有機にんじんの皮付き蒸しと慣行品をブラインドで食べ比べ、甘い方を当てるゲーム。
  • まず葉物とにんじんを有機に:月+2,000円で農薬・化学肥料フリー食卓へ一歩前進。

まとめ

有機JASマークは「農薬ゼロ」だけでなく土づくりから流通までの厳格なトレーサビリティを保証します。95%以上の有機原料という高いハードル、化学合成農薬・肥料の全面排除、年次審査――これらを乗り越えた食品だからこそ、味・香り・栄養価で確かな差が生まれます。まずはスーパーで有機JASマーク入りのにんじんを1袋選び、皮ごと蒸して甘味と香りを体験してください。そのおいしさが次の一品を有機に替える原動力になるはずです。疑問や迷いがあれば、いつでも相談してください。あなたと家族の健康を後押しする“小さなラベル”が、きっと大きな安心につながります。

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